2016年09月13日

上布と引き換えに〜北越雪譜より〜

先月、友人と十日町博物館に行ってきました。

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▲こういうお人形さんが好きです。
このおじいさんは、紡錘車で糸にヨリをかけています。

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▲出土した紡錘車。コマのように回転させ、糸を撚糸してゆきます。
麻や苧麻(からむし)は、ひたすら割いてつなげてゆき、糸を作るのですが、
このように糸に回転をかけることで強度がまします。

紡錘車の下には、ほそーーい苧麻が。

繊維が強靭な苧麻は細く割くことができるので、そのほそーい糸で織ったものは、
夏用の高級衣料品としてもてはやされました。

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髪の毛よりも、まだ細く。

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絣の精巧にタテヨコあわさった越後上布など見ると、背中がぞっとします。
わたし、大ざっぱなので、こういう根をつめた仕事は、考えただけで気が遠くなるのです。。。

鈴木牧之の『北越雪譜』を思い出しました。
こういうほそーい苧麻糸で織るのは、14・5〜24・5歳という、うら若い女性たちでした。
老眼が入るとまずいらしいのです。

特に上等の布を織るときは、精進潔斎をして機屋にこもったそうです。
それくらい、気合をいれないといけなかったのでしょう。

ある娘が上等の縮(ちぢみ)の注文をうけ、喜び勇み、
糸作りからはじめ織りまで、丹念に心をくだいて製作に打ち込みました。
ところが、晒しから返ってきた布に、小さなシミができていました。

かかさま いかにせん、かなしやと縮を顔にあてて
哭(なき)倒れけるが、
これより発狂(きちがひ)となり
さまざまの浪言(らうげん)をののしりて
家内を狂ひはしるを見て、
両親(ふたおや)娘が丹精したる
心の内をおもひやりて哭にけり


彼女は、発狂してしまいました。

彼女たちを機にむかわせたのは、誇りと、製作の喜び、達成感だったでしょう。
こころを研ぎ澄ませて丹念に糸を割き、丁寧に績み、織りあげて、、、
そして得られる報酬は、わずかなものであったといいます。

上布は、江戸などの都市で、富裕層により消費されました。

心と身を、削るのと引き換えに、織りあげられた衣。
大切に、着てもらえたでしょうか。

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ラベル:織物 上布
posted by フセ at 22:03| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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